成人の刑事手続きと少年事件の手続きとは大きく異なります。「少年の被疑事件について捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑がある」とみられる場合,全ての事件が家庭裁判所に送致されます(全件送致主義 少年法41,42)。
しかし,逆にいえば,「捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑がある」とは見られない場合,すなわち,嫌疑なし・嫌疑不十分という場合には家裁送致がなされないということになります。
また,軽微な少年事件については,簡易送致手続による事件送致がなされる運用となっており(昭和44年4月25日最高検調秘45次長検事通達「少年事件の簡易送致の基準について」,同月30日警察庁乙刑14次長通達「犯罪捜査規範の一部を改正する規則の制定について」,同年5月27日家庭局長通達「簡易送致事件の処理について」),警察が少年に注意・訓戒を与えたうえで,少年事件簡易送致書のみで審判不開始で事件を終結させることもあります。
少年法
(司法警察員の送致)
第四十一条 司法警察員は,少年の被疑事件について捜査を遂げた結果,罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは,これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも,家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは,同様である。
(検察官の送致)
第四十二条 検察官は,少年の被疑事件について捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑があるものと思料するときは,第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて,これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも,家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは,同様である。
2 前項の場合においては,刑事訴訟法 の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は,その効力を失う。