有責者による婚費請求

婚姻費用の分担を求める請求は,権利者が有責であっても認められるのでしょうか。この点,裁判例は分かれており,例によってケースバイケースということになります。

そもそも婚姻費用の分担請求が認められる理論的な根拠は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定める民法760条に求められるところ,権利者の有責性は問題とならないとも考えられます。しかし,そのような形式論理では不合理な結論を招いてしまうこともあるでしょう。そこで,裁判所は一定の場合に,有責者からの婚姻費用分担請求を「権利の濫用」として排斥することがあります。ただし,その場合でも有責配偶者と同居する未成年の子の実質的監護費用(生活費)は請求しうるという結論になる多いようです(東京高決昭和58年12月16日)。