交通事故と刑事記録

 交通事故の事故態様に争いがある場合には,刑事記録を参照することになりますが,刑事記録と言っても様々な種類があり,種類に応じて取得方法も異なります。

1 刑事事件確定後

・刑訴法53条1項により,原則として「何人でも」閲覧可能。通常は謄写も可能。

 

2 刑事事件係属中(第一回の公判期日後)

・当該刑事事件の被害者は,犯罪被害者保護法3条により閲覧,謄写が可能。

・当該刑事事件の被害者ではない場合でも,同種余罪の被害者は,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第4条で閲覧,謄写が可能。

 

3 不起訴記録

・刑訴法47条により原則不可だが,弁護士法23条の2による照会,民事訴訟法226条による文書送付嘱託の申立てにより実況見分調書等の客観証拠は謄写可能。供述調書は閲覧謄写に厳格な要件のもとに認められているのが実際(平成20年11月19日付刑事局長依命通達(法務省刑総第1595号))

 

4 少年事件

・少年法5条の2により,裁判官の裁量により(考慮要素は条文参照)謄写が可能。

 

5 物損のみの場合(刑事事件でない場合)

・弁護士法23条の2による照会,民事訴訟法226条による文書送付嘱託の申立てにより物件事故報告書(ごく簡単な報告書のみ)の謄写が可能。

 

刑事訴訟法

第四十七条  訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

 

第五十三条  何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。

 

犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律

(被害者等による公判記録の閲覧及び謄写)

第三条  刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。

 

(同種余罪の被害者等による公判記録の閲覧及び謄写)

第四条  刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、次に掲げる者から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、第一号又は第二号に掲げる者の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合であって、犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせることができる。

一  被告人又は共犯により被告事件に係る犯罪行為と同様の態様で継続的に又は反復して行われたこれと同一又は同種の罪の犯罪行為の被害者

二  前号に掲げる者が死亡した場合又はその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹

三  第一号に掲げる者の法定代理人

四  前三号に掲げる者から委託を受けた弁護士

 

民事訴訟法

(文書送付の嘱託)

第二百二十六条  書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。

 

弁護士法

(報告の請求)

第二十三条の二  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2  弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 

少年法

(被害者等による記録の閲覧及び謄写)

第五条の二  裁判所は、第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る保護事件について、第二十一条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く。)の閲覧又は謄写の申出があるときは、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとする。

 

 

平成20年11月19日付刑事局長依命通達(法務省刑総第1595号)http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji23.html