破産手続申立てと強制執行及び滞納処分

債務を支払わないまま放置しておくと,そのうちに訴訟を提起され,判決をとられることがあります。それでも,放置してしまうと給料や預金を差し押さえられることがあります。では,差押えを受けた後に,破産の申し立てをした場合はどうなるでしょうか。

 この点,破産法24条1項は,「破産手続開始の申立てがあった場合において,必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で」,差押え等の強制執行を中止を命ずることができると規定しています。

 

 また,破産法42条1項は,破産手続開始決定があった場合に,強制執行等ができなくなる旨規定し,同条2項は開始決定前に既に強制執行がなされているものについても,開始決定後は失効する旨規定しています。

 

 したがって,強制執行を受けた場合には,直ちに破産手続の申立てをして,強制執行を中止させ,その後,速やかに破産手続開始決定をだしてもらって強制執行を執行させる必要があります。

 

 もっとも上記は強制執行の場面における規定であり,国税滞納処分等には適用されません。国税滞納処分等には破産法43条が適用され,開始決定後は国税滞納処分ができないとされる一方で,既に国税滞納処分がされている場合には開始決定後も続行可能とされています。

 

 そして,破産法25条1項の定義規定によれば,国税滞納処分は,「国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く」とされていますので,市税等にも同様のことがいえるわけです。

 

 いずれにせよ,税金,債務を放置しておくこと自体よい結果を生みませんので,早めに法的手続きをとることをおすすめします。

 

(他の手続の中止命令等)

第二十四条  裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第一号に掲げる手続又は第六号に掲げる処分についてはその手続の申立人である債権者又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限り、第五号に掲げる責任制限手続については責任制限手続開始の決定がされていない場合に限る。

一  債務者の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え、仮処分又は一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法 (明治三十二年法律第四十八号)又は会社法 の規定によるものを除く。)による競売(以下この節において「強制執行等」という。)の手続で、債務者につき破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権若しくは財団債権となるべきもの(以下この項及び次条第八項において「破産債権等」という。)に基づくもの又は破産債権等を被担保債権とするもの

 

(他の手続の失効等)

第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

 

(国税滞納処分等の取扱い)

第四十三条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。次項において同じ。)は、することができない。

2  破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。