北名古屋市 矢澤法律事務所

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北名古屋市 矢澤法律事務所

2016年

2月

05日

社宅(寮)と賃貸借契約

 従業員の便宜のため,会社が民間のマンションを借りて,従業員の社宅(寮)として用いることがあります。会社としては,従業員が会社を退職する場合には,当然に社宅からも退去してもらうことを前提としていることが多いと思いますが,本当にそのように考えてよいものかどうか一考の余地があります。

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2015年

11月

20日

業務委託契約とは?

 「業務委託契約とは何ですか?請負契約と何が違うのですか?」という質問がありました。少し考えさせられるところがありましたので記事にしてみます。

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2015年

11月

17日

離職理由と失業給付

 会社を退職するにあたり,自己都合退職と会社都合退職の区分がよく用いられます。自己都合退職の場合は,失業給付の受給までに3か月の給付制限期間があり,会社都合退職の場合はその給付制限期間がない,ということは一般的にもよく知られていることだと思います。

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2015年

11月

02日

解雇の効力についての紛争において支払われた解決金の税務処理

解雇の効力についての紛争が,解決金の支払いによって解決されることがよくありますが,解決金額の設定に際して,解決金の税務処理についても予め検討しておく必要があります。

退職所得については,特別な所得控除額が定められており(所得税法30条),給与所得よりも税負担が少ない仕組みとなっていますが,通常,解雇の効力についての紛争において支払われた解決金についても退職所得として扱われることになります(所得税法30条1項参照)。

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2015年

10月

27日

解雇予告と即時解雇

解雇については,「使用者は,労働者を解雇しようとする場合においては,少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は,三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」(労基法20条1項)という規定がありますが,当然ながら,全ての会社が解雇をする際に,この規定を念頭において,解雇予告(労基法20条1項本文前段)と即時解雇(労基法20条1項本文後段)を明確に使い分けているわけではありません。

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2015年

7月

27日

有期雇用と試用期間

先日のコラムで試用期間中であっても,簡単に解雇することはできない旨を説明しました。しかし,実際問題,採用面接段階で社員の能力適性を見極めることは極めて困難であり,採用から数週間した時点で雇用契約を見直したいというケースも多いと思います。

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2015年

7月

24日

試用期間中における解雇

正社員を採用する際,試用期間を設ける会社は多いと思います。しかし,試用期間中であれば,簡単に解雇ができるわけではありません。この点,雇用契約締結前の時点においては,採用するかどうかは会社の自由であるのに対し,いったん採用して雇用契約を締結した後は,試用期間中といえども,解雇が認められるかどうか,という難しい問題となります。

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2014年

12月

24日

労働者か請負人かの判断基準

 例えば,建設業におけるいわゆる手間請け従業者やトラックの庸車運転手の場合,労働者か請負人かが不明確であることが珍しくありません。しかし,この区別は,残業代請求や解雇権濫用法理の適用の場面等で,重大な意味を持つものであり,使用者にとっても労働者にとっても決して軽視することのできないものです。

 では,労働者か請負人かの区別はどのように判断するのでしょうか。

 法律上,労働者とは「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されていますが(労基法9条),労働者か請負人かが問題となるケースにおいては,必ずしも有効な判断基準を提供するものではありません(請負人の場合でも「使用される」といいうるし,請負代金と「賃金」を客観的に区別することは困難だからです)。

 この点について,昭和60年に発表された労働基準法研究会報告は,より有効な判断基準を提供しようとする試みです。同報告では,労基法9条に従い,①「使用される」=指揮監督下の労働といえるかどうか,②「賃金支払」=報酬の労務に対する対償性を「労働者性」の判断基準に据え,それぞれについてさらに細かな判断基準要素を列挙しています。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000xgbw-att/2r9852000000xgi8.pdf

 なお,労働基準法研究会は,平成8年にも,建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の「労働者」の判断基準についての報告を発表しており,実務上は大いに参考になります。

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0112/6111/roudousyasei0803.pdf

2014年

9月

25日

退職時の有給消化(時季指定権と時季変更権)

使用者は,「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。」とされていますが(労働基準法395項本文),使用者側には「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては,他の時季にこれを与えることができる」(労働基準法395項但書)という時季変更権も認められています。もっとも,「事業の正常な運営を妨げる場合」というのは,単なる「業務繁忙」や「人員不足」は該当しないとされていますから,時季変更権の行使は慎重に行うべきでしょう。

特に問題となりやすいのは,退職間際の有給消化です。退職間際に有給を消化しようとすると,労働者の時季指定権と使用者の時季変更権が対立する可能性が高まります。引継等の事情により,「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当することになれば,使用者の時季変更権が認められることになりますが(なお,退職後は有給を取ることはできません),必ずしも「引継の必要がある=事業の正常な運営を妨げる場合」とはなりませんので,ケースバイケースで考えていかねばなりません。

 

労働基準法

第三十九条  

 

  使用者は,前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし,請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては,他の時季にこれを与えることができる。

2014年

9月

23日

解雇期間中に他の会社から得た賃金

 解雇の有効性が争われる事案においてよく問題となるのは,解雇が無効であるとの判断がなされるまでの間の賃金の扱いです。この点,事後的に解雇が不当なものであったとの判断がなされた場合は,民法5362項前段の「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったとき」には該当しませんので,労働者は,解雇期間中の「反対給付」(賃金)を請求する権利を失わないとされています。

 では,解雇の有効性を争っている間に,他の会社で就労した場合はどうなるでしょうか。この点,民法5362項後段によれば,「自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。」とされており,文字通り解釈すれば,他の会社で就労したことによって得た賃金があれば全額控除されるとも解されます。

しかし,判例上は,「使用者の責めに帰すべき事由によって解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益(以下「中間利益」という。)を得たときは,使用者は,当該労働者 に解雇期間中の賃金を支払うに当たり中間利益の額を賃金額から控除することができるが,上記賃金額のうち労働基準法12条1項所定の平均賃金の6割に達するまでの 部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である。」,「中間 利益の額が平均賃金額の4割を超える場合には,更に平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(同条4項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解される」(最判H18.3.28)。とされています。したがって,解雇が後に不当なものであるとなった場合,労働者が解雇期間中に他の会社で就労した場合でも,不当解雇した会社は一定の賃金を支払わなければならないことになります。

 

民法

(債務者の危険負担等)

第五百三十六条  前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。

  債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

労働基準法

 

第十二条  この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。

2014年

9月

19日

従業員に対する貸付金の給与天引き

経営者と従業員との心理的距離が近い中小企業においては,従業員に頼まれてお金を貸し付けることがあります。会社としては,翌月の給料から天引きして返済してもらうのが当然と考えることと思いますが,このような取り扱いには法的なリスクが潜んでいます。

すなわち,労働基準法24条は,賃金の全額払いを義務付けていますので,従業員に貸付金があったとしても相殺(天引き)することはできないのが原則です。もちろん,従業員が納得したうえであれば,実際上問題となりませんし,多くの場合は従業員も納得してくれることでしょう。しかし,従業員が会社に不満を持って退職する場合や貸付金が多額に膨らんでしまって返済意欲が無くなってしまっている場合などには,この法的リスクが顕在化することになります。

頻繁に従業員に貸付けをする会社においては,貸付け時点で,相殺合意書面を取っておく等の工夫が必要といえるでしょう。

 

労働基準法

(賃金の支払)

第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

  賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

 

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