北名古屋市 矢澤法律事務所

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北名古屋市 矢澤法律事務所

2017年

3月

23日

債務弁済と相続放棄

 3か月の熟慮期間中であっても、「相続財産の処分」(民法921条)をすると相続放棄が認められなくなってしまいますが、具体的に何が「相続財産の処分」にあたるのか、というのは必ずしも明確ではありません。(相続放棄と法定単純承認

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2017年

3月

21日

外国人妻・内縁の妻と相続

 相続トラブル防止のための遺言の有用性はよくいわれているところですが、まだまだ十分活用されているとはいえません。遺言を書きたいからという理由で弁護士に相談に来るのはまだまだ少数派で、多くの人は、被相続人が死亡して相続が発生した後にはじめて弁護士に相談します。結果として、弁護士の立場からみれば、遺言さえ作っておけば済む問題も、被相続人が死亡した後ではどうにもならない、という事案をよく目にします。

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2016年

11月

30日

どうしても遺産分割協議がまとまらないときの対処法

遺産分割協議というのは,ときに非常にやっかいなもので,相続人全員が合意しないことには成立しません。つまり,相続人の1人が強硬に「全ての遺産は自分のものだ」と主張し続ければ,遺産分割協議が成立する余地はないわけです。法的に見て正しいかどうかは,あくまでも紛争が裁判所に持ち込まれた場合に意味を有するのであって,裁判所「外」での遺産分割「協議」においては,相続人全員が合意できるかどうかが全てなのです。

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2016年

11月

08日

夫婦間の相続

現行民法では,配偶者は常に法定相続人となりますが(民法890条),これは配偶者が生きていることが前提となっています。

 

 離婚における財産分与の場合は,いわゆる二分の一ルールが定着していますし,分与の対象となる財産は,婚姻後に夫婦で形成した財産に限られます。逆に言えば夫婦で形成していない財産,例えば,婚姻前にすでに形成されていた財産,婚姻後であっても相続によって取得した財産などは財産分与の対象外となります。したがって,婚姻期間の長短が,財産分の対象となる範囲にも大きく影響することとなります。

 

 ところが,相続においては,被相続人に子がいない場合,配偶者の法定相続分は三分の二となりますし,被相続人に子も親もいない場合には配偶者の相続分は詩文の酸となります(民法900条)。しかも,この場合は,夫婦で形成した財産かどうかは関係ありませんから,婚姻期間の長短に関わらず,全ての財産が相続の対象となります。

 

 もちろん,離婚と相続とでは場面が異なりますから,上記の違いが直ちに不合理であるということにはなりませんが,多少の違和感を感じるケースもあります。

 

 例えば,十億円の資産を有する夫と全く資産のない妻という子なし夫婦がいたとし,共に両親は健在であるとします。このような夫婦で,仮に夫が先に死亡したとすると,妻は夫の財産の三分の二(6.6億円)を取得することになります。そして,その後妻が死亡すれば,6.6億円の財産は妻側の遺族に相続されていくことになります。

 

 これに対して,夫より妻が先に死亡した場合は,妻が夫の財産を取得することはありませんし,その後夫が死亡したとしても,当然ながら妻側の遺族に夫の遺産が継承されることはありません。

 

 このように,夫婦間の相続は,死亡の順序によって,非常に大きな差異が生じることがあります。死亡時期のずれが何年もあればそれでもさほどの違和感は生じないかもしれませんが,例えば死亡時期が五分早いかどうかで結果が異なってくる場合もあり得ますから,そうなると本当にそれが妥当な制度なのかと思わなくもありません。

 

 ちなみに,死亡の順序が不明な場合,民法32条の2により同時死亡の推定が働き,夫婦間の相続は生じないことになりますが,事案によっては,本当は同時死亡ではないと思われるけれども,死亡の前後が立証できないため同時死亡として扱わざるを得ない場合などもありうるでしょう。そのような場合は,死亡の前後を立証できる証拠の有無で,夫婦間相続が発生するか否かが決せられるということになりますが,そのような取り扱いでよいのかどうかも議論の余地があるのではないかと思えます。

 

民法

(配偶者の相続権)

第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

 

(法定相続分)

第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

 

第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

2015年

10月

22日

死亡退職金と相続 

前回は,死亡保険金が相続においてどのように扱われるかを概観しましたが,今回は死亡退職金についてです。死亡退職金は,死亡保険金とはかなり性質が異なり,具体的な事案に応じてケースバイケースであるといえます。

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2015年

10月

19日

死亡保険金と相続

夫が死亡し,妻が生命保険の受取人として保険金を受領するケースにおいては,以下のようなことを知っておくべきでしょう。①遺産分割の対象か,②特別受益となるか,③相続税は課税されるのか,という3つの視点でみることが有用であると思います。

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2015年

9月

25日

相続税の債務控除と保証債務

相続税の課税対象となる財産からは,被相続人の債務を控除することができますが(相続税法13条),保証債務については通常「確実」(同法14条)な債務ということはできない(主債務者が債務を履行すれば,保証債務を履行する必要はない)ので,原則として控除できません。

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2015年

9月

21日

散骨について

日本においては人が死亡した場合,火葬して遺骨をお墓に納めるのが通常とされてきました。しかし,近年では様々な事情により,遺骨の処理についても多様化してきており,最近耳にすることが多くなったのは,永代供養や散骨です。また,最近増加してきたというものではありませんが,遺骨を仏壇に納めて手元においておくことも珍しくありません。

 ここでは散骨にまつわる法律を確認しておきたいと思います。

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2015年

9月

03日

包括遺贈について

何らかの事情があって,自分の死後は相続人でない者に自分の財産を取得させたい,という場合には遺贈という手段が用いられます。生前に単純な贈与をした場合は贈与税の対象となり,多額の税金が課せられることにもなりかねませんが,遺贈の場合には相続税との対象となりますので,単純な贈与と比較して税務面でのメリットがあるといえます。

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2015年

8月

11日

代表者の会社に対する貸付金と相続

中小企業において会社のオーナー代表者が会社に対して何千万円もの金銭を貸し付けている場合があります。会社の決算報告書にも,代表者に対する借入金が計上されているのですが,代表者=会社という意識があって,返済しなければならないという意識が弱く,長年放置されているという場合もあります。

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2015年

7月

28日

遺贈と税金

 相続人以外の者が遺産を遺贈という形で取得する場合がありますが,日本国内に住所を有する受遺者(遺贈を受けた者)は相続税の納付義務を負います(相続税法1条の3)。また,受遺者が遺贈者の1親等の血族及び配偶者以外の者であるときは,相続税額が2割増しとなります(相続税法18条)。

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2015年

6月

18日

特別受益と持ち戻し免除の意思表示

遺産分割協議において,特別受益の主張がされることがあります。特別受益が認められると,死亡時点の相続財産に特別受益の価額を加えたものを相続財産とみなし,これをベースにして各相続人の相続分を計算することになります(民法903条1項)。

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2015年

2月

28日

申告期限までに遺産分割協議が整わない場合

配偶者の相続税の軽減,小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を受けるためには,原則として相続税の申告期限までに遺産分割協議が整える必要があります。

もっとも,遺産分割協議は往々にして紛糾し,申告期限までに協議が整わないことも珍しくありません。その場合には,「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出」をしておくことで,特例の適用を受けることができます。この場合,分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更正の請求」を行うことにより,いったん納めた相続税の一部の還付を受けることができます。

さらに,申告期限から3年以内にも分割ができないという場合には(ただし,法定のやむを得ない事由があることが条件となります。),遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続をとることにより,特例の適用期間を延長することが可能です。

 

相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2327.htm

 

遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/1585-01.htm

 

 

2015年

2月

28日

共有持分と相続放棄

夫婦で自宅を共有しており,夫が死亡したとします。夫には多額の債務が残っていたため,妻が相続放棄をすると,夫の共有持ち分はどうなってしまうのでしょうか。

この点,民法255条は,「共有者の一人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は,他の共有者に帰属する。」と定めています。

しかし,最高裁平成元年11月24日判決は,「 共有者の一人が死亡し,相続人の不存在が確定し,相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは,その持分は,民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり,右財産分与がされないときに,同法二五五条により他の共有者に帰属する。」旨判示していますから,相続債権者への弁済や,特別縁故者に対する財産分与が必要な場合には,民法255条によっても直ちに他の共有者に帰属するということにはならない,ということになります。


民法

第二百五十五条  共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

 

第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2  前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

 

最高裁平成元年11月24日判決

 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52769

2014年

11月

26日

「相続させる」旨の遺言

遺言による財産処分には次3つの種類があります。

1 相続分の指定(民法902)

2 遺産分割方法の指定(民法908)

3 遺贈(民法904)

 

 特定の遺産を,特定の相続人に対し相続させたいという場合に,よく用いられる「相続させる」旨の遺言の法的性質について,以前は争いがありましたが,現在では,上記2の遺産分割方法の指定と解することで争いはありません(最高裁H3.4.19判決)。

法的性質が遺産分割方法の指定であるために,遺贈である場合と比べて以下のメリットが生じます。

 

(1)単独で登記手続することができる(不動産登記法63条2項 昭和47年4月17日付法務省民事局長通達)。なお,遺贈の場合には,他の共同相続人と共同して登記手続をする必要があります。

 (2)農地法3条の農地委員会又は知事の許可が不要(農地法3条1項12号)。

 (3)遺産が特定の借地権又は賃借権である場合,賃貸人の承諾が不要。なお,遺贈の場合は賃貸人の承諾が必要(民法612条1項)。

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